
ステンレス筐体の加工では、仕上がりの美しさが特に求められます。500×500×200サイズのラックマウントボックスを製作するにあたって、傷を目立たせない表面処理や精度の高い曲げ加工、そして繊細なTIG溶接の技術が必須でした。特に外観が重視される製品では、微細なキズすら製品価値を損ねかねません。そのため、加工段階から取り扱いまで一貫して高い配慮と工夫が必要とされました。
◇ラックマウントボックスとは?
ステンレスを素材とした筐体部品で、各種装置の収容や固定に用いられる構造物。通信機器や測定機器などで使用されます。
◇製品詳細
・寸法:500×500×200
・材質:ステンレス(HL材またはバフ研磨対応)
・構成:フロントパネル、筐体本体、内部仕切り
・板厚:1.5mm程度
・表面仕上:ヘアライン仕上・バフ研磨・バレル研磨など選択可
◇特長
・レーザーパンチ複合機による精密切断と高速加工
・100t/130tのプレスブレーキによる高精度曲げ
・ステンレスTIG溶接による滑らかな外観仕上げ
・薄板への繊細な熱影響を抑えた溶接技術
・社内研磨処理によるキズの少ない美観保持
◇使用例
・通信ラック装置
・音響・映像機器収納
・制御盤ボックス
・医療関連の機器筐体
・分析装置筐体
◇加工方法
レーザーパンチ複合機(アマダLC-2012C1NT)にて母材切断と穴あけを同時に実施。続いてプレスブレーキHG1003ATCで高精度に曲げ加工。その後、TIG溶接(パナソニック製インバーター)で接合し、最終的に表面研磨処理を行いキズを抑えた外観に仕上げています。薄板でも反りや歪みを抑え、特に美観を重視する製品に最適な工程です。
◇取組み
小ロットでも短納期対応を重視し、複合機やTIG溶接、研磨を一貫して社内対応する体制を整備。設計段階からCAD/CAMプログラマーが対応することで、加工精度や効率を高めています。表面仕上げの美しさにこだわる製品に対しては、ヘアライン材の向きや研磨方法を製品仕様に応じて変更するなど、個別の工夫を行っています。
◇まとめ
筐体製品に求められる「精度」「外観」「納期」を全て満たす体制が整っています。