
この記事でわかること:制御盤・電気盤の筐体に0.8〜2.0mmの薄板が使われる理由/板厚別の使い分け早見表/薄板でも歪み・たわみを出さない設計と加工の実務ノウハウ/実際の製作工程。筐体の製作先をお探しの装置メーカー・電気工事・設備担当の方に向けて、板金加工の現場からまとめました。
今回は、制御機器を収める筐体(制御盤・電気盤ボックス)の製作事例をご紹介します。板厚0.8〜2.0mmの薄板板金は、制御盤・電気盤筐体の最も代表的な領域です。薄い材料は軽量でコストを抑えられる反面、剛性の確保と溶接歪みの抑制が難しく、「設計の工夫」と「加工の腕」がそのまま品質差になる分野でもあります。
なぜ制御盤・電気盤の筐体は0.8〜2.0mmの薄板なのか
制御盤・電気盤の筐体には、強度・重量・コスト・加工性のバランスが求められます。厚板にすれば頑丈になりますが、重くなり、壁掛けや装置への組み込みが難しくなり、材料費も上がります。逆に薄すぎると、機器の取付やドアの開閉でたわみ・ビビリが出ます。この釣り合いが取れるのが0.8〜2.0mmの領域で、JIS等の盤用鋼板の標準もこの範囲に収まっています。
板厚の使い分け早見表(0.8/1.0/1.2/1.6/2.0mm)
ご相談で最も多いのが「板厚はどれにすべきか」です。当社が実務で目安にしている使い分けをまとめました。
| 板厚 | 主な用途の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 0.8mm | 小型の端子ボックス、カバー類 | 軽量・低コスト。リブや折り返しでの補強が前提 |
| 1.0mm | 小型制御ボックス、屋内盤の扉・側板 | 薄板筐体の標準的な選択肢。曲げ精度が出しやすい |
| 1.2mm | 中型の制御盤筐体、機器取付面 | 剛性と軽さのバランスが良く、当社でも採用が多い |
| 1.6mm | 自立盤の本体、重量機器の取付部 | 盤用鋼板の定番。タップ加工にも余裕がある |
| 2.0mm | 大型盤のフレーム、強度が必要な底板・ベース | 剛性重視。重量とコストは増える |
実際には「本体1.6mm+扉1.2mm」のように部位ごとに板厚を変えるのが合理的です。図面がない段階でも、収める機器の重量と設置方法(壁掛け/自立/装置組込)をお伝えいただければ、板厚からご提案できます。
本事例のポイント:薄板で歪みを出さない工夫
- リブ成形による剛性確保:写真の内側パネルに見えるリブ(ビード)で、板厚を上げずにたわみを抑制。軽量化とコストダウンを両立
- 曲げ主体の構造設計:溶接箇所を減らし、曲げと折り返しで箱を構成することで、薄板特有の溶接歪みを最小化
- 開口部・取付穴の高精度加工:レーザー加工機(アマダ製)で機器取付穴・配線用開口を切断。組付け時の「穴が合わない」を防止
- コーナー部の丁寧な処理:角部の合わせ精度を高め、隙間・段差のないシャープな仕上がりに
- 1個からの小ロット対応:試作・装置1台分だけの製作にも対応
0.8〜2.0mm薄板の代表的な用途
- 制御盤・電気盤・分電盤の筐体、扉、内部取付板
- 装置組込み用の制御ボックス・端子ボックス
- 機械カバー・安全カバー
- 操作パネル・計器盤
- 通信・計測機器のシャーシ、ケース
製作工程
- 設計・展開図作成:CAD/CAMで曲げ順序・リブ位置・穴位置まで確定。機器の取付図と照合
- レーザー切断:開口部・取付穴を含めて高精度に切断
- 曲げ・リブ成形:プレスブレーキで成形。薄板は曲げ順序と金型選定が精度を左右
- 接合:スポット溶接・TIG溶接・リベット等を部位ごとに使い分け、歪みと強度を両立
- 検査・仕上げ:寸法・取付穴ピッチを検査。必要に応じて塗装・ヘアライン等の表面処理
よくあるご質問
Q. 材質は何が選べますか?屋外設置でも大丈夫ですか?
A. 鉄(SPCC・電気亜鉛メッキ鋼板)、ステンレス(SUS304・SUS316)、アルミに対応しています。屋外や水気のある環境ではステンレスまたは溶融亜鉛メッキ系+塗装をおすすめしています。設置環境をお伝えいただければ、コスト比較込みでご提案します。
Q. 1個だけ、試作だけでも製作できますか?
A. はい。当社は多品種少量生産を得意としており、試作1個からリピート製作まで対応します。試作で形状を確認してから量産に進むケースも多くあります。
Q. 図面がなくても相談できますか?
A. 可能です。収める機器のカタログ・寸法や手書きスケッチ、既存品の現物から当社でCAD図面を起こします。既存筐体の作り替え・改造のご相談も歓迎です。
Q. 塗装やシルク印刷、組立までお願いできますか?
A. 表面処理・塗装は協力工場と連携して一括でお受けできます。板金+処理まで含めた完成品の状態で納品可能ですので、手配の手間を減らしたい場合はご相談ください。
まとめ:薄板筐体は「板厚選定と歪み対策」で決まります
制御盤・電気盤の筐体は、0.8〜2.0mmという薄板の中で「どの板厚を、どこに使うか」「歪みをどう抑えるか」が品質とコストを分けます。株式会社オーディーケー(東京都青梅市)は、設計段階からの板厚提案と、レーザー切断・曲げ・溶接の社内一貫体制で、多摩エリアをはじめ首都圏の装置メーカー・設備業者様の筐体製作を支えています。
