精密組立筐体の製作|溶接しない「パネル組立式」で歪みゼロ・分解可能なボックスを【製作事例】

この記事でわかること:溶接一体型と「パネル組立式」筐体の使い分け早見表/皿ねじで表面を面一(つらいち)に仕上げる精密板金の実務ポイント/パネル構造だからできる「あとから変えられる」設計の考え方。計測機器・光学機器・研究開発用の筐体をお探しの設計者・調達担当の方に向けて、加工現場からまとめました。

今回は、溶接を使わずにパネルをねじで組み上げた精密組立筐体の製作事例をご紹介します。面取りしたコーナー部材に天板・側板を皿ねじで固定し、側面には小窓付きのアクセスパネルを設けた構成です。ねじ頭が飛び出さない面一の表面、パネル同士の均一な合わせ目——溶接筐体とはまた違う「組立の精度」が問われる製品です。

溶接一体型と「パネル組立式」、どちらを選ぶか

筐体・ボックスの作り方は、大きく「溶接で一体化する」か「パネルをねじ・リベットで組む」かに分かれます。それぞれの得意分野は明確です。

比較項目溶接一体型パネル組立式(本事例)
熱歪み溶接歪みの管理が必要熱を加えないため歪みゼロ。平面度をそのまま維持
分解・改造基本的に不可パネル単位で交換・穴追加・仕様変更が可能
気密・水密連続溶接で高い密閉性合わせ目があるため密閉はパッキン併用で対応
内部への組込み作業開口からの作業になるパネルを外して作業でき、組込み・配線・保守が容易
向くケース液体・粉体を扱う容器、強度・密閉重視計測・光学・電子機器の筐体、試作、仕様変更が見込まれる装置

特に開発段階の装置では、「あとで開口を追加したい」「内部レイアウトが変わるかもしれない」がつきものです。パネル組立式なら該当パネル1枚だけ作り直せば仕様変更に追従できるため、開発スピードとコストの両面で有利になります。

面一(つらいち)に仕上げる精密板金のポイント

この筐体の見た目を決めているのは、ねじ頭が表面から飛び出さない皿もみ加工と、パネル間の段差のない合わせです。皿もみは深すぎればねじが沈んで穴が緩み、浅すぎれば頭が出っ張ります。板厚・ねじサイズごとに適切な深さを管理し、多数の穴で均一に仕上げるのが精密板金の腕の見せどころです。また、組立式は各パネルの寸法誤差がそのまま合わせ目の隙間になるため、1枚1枚の切断・曲げ精度が筐体全体の仕上がりを決めます

本事例のポイント

  • 溶接レスの歪みゼロ構造:熱を加えないため、パネルの平面度・全体の直角度をそのまま維持
  • 皿ねじによる面一仕上げ:皿もみ深さを管理し、表面に突起のないフラットな外観を実現
  • 面取りコーナー部材:角部の面取りで安全性と外観品質を両立し、パネルの位置決め基準としても機能
  • アクセスパネル付き設計:使用頻度の高い箇所だけ小パネルで開けられるようにし、日常のメンテナンス性を確保
  • 組立まで社内で完結:部品加工だけでなく組立・建付け確認まで行い、「組んだ状態の品質」で納品

想定される用途例

  • 計測機器・分析機器・光学機器の筐体、遮光ボックス
  • 研究開発・試作装置のカバー、実験用ボックス
  • 電子機器・制御ユニットの精密ケース
  • 展示・デモ機用の外装ボックス
  • 仕様変更が見込まれる装置の初号機筐体

製作工程

  1. 設計:パネル分割・ねじ位置・アクセスパネルの配置をCADで確定。組立順序まで考慮した部品設計
  2. レーザー切断:各パネル・コーナー部材を高精度に切断。穴位置の精度が組立精度に直結
  3. 曲げ・穴加工:プレスブレーキで成形し、皿もみ・タップ等の二次加工を実施
  4. 表面仕上げ:パネルごとにヘアライン等の表面処理を行い、組立後の外観を統一
  5. 組立・検査:全パネルを組み上げ、合わせ目・建付け・寸法を確認して納品

よくあるご質問

Q. 溶接式とパネル組立式、どちらで作るべきか相談できますか?

A. はい。用途(密閉の要否・仕様変更の可能性・メンテナンス頻度)をお聞きして、当社で最適な構造をご提案します。両方の工法を社内に持っているため、どちらかに誘導することなく中立に比較できます。

Q. 1台だけの製作でも、組立まで頼めますか?

A. 可能です。試作1台から、部品加工+組立+建付け確認まで行った完成状態で納品します。バラ部品での納品(お客様側で組立)にも対応します。

Q. あとから開口や穴を追加したくなったら?

A. パネル組立式の最大の利点です。該当するパネル1枚を再製作するだけで対応でき、筐体全体を作り直す必要がありません。図面データを保管しているため、変更部分だけの短納期対応が可能です。

Q. 表面の仕上げや色は選べますか?

A. ヘアライン仕上げのほか、塗装・アルマイト(アルミの場合)などの表面処理もご相談いただけます。機器の外観に合わせた仕上げをご提案します。

まとめ:「あとから変えられる筐体」という選択肢

パネル組立式の精密筐体は、歪みのない美しい仕上がりと「仕様変更に追従できる柔軟さ」を両立する構造です。株式会社オーディーケー(東京都青梅市)は、精密板金・表面処理・組立まで社内一貫の体制で、多摩エリアをはじめ首都圏の機器メーカー・研究開発部門の試作〜小ロット製作に対応しています。

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