受け口(ロート)付き曲げパイプの製作|板金成形×パイプ曲げで「こぼさず受けて流す」を形に【製作事例】

製作途中の受け口付き曲げパイプ。当社工場の作業台で、寸法を確認しながら仕上げ工程へ進む前の状態です(奥では別部品の溶接作業中)

この記事でわかること:「受けて、流す」部品の設計ポイント(こぼれ・液だれ・詰まりを防ぐ形状)/板金成形の受け口とパイプという異種部材を溶接でつなぐ実務/製作途中の現物確認が品質を上げる理由。液体・粉体の投入口や回収口をお探しの装置メーカー・設備担当の方に向けて、加工現場からまとめました。

今回は、ロート状の受け口を先端に備えた曲げパイプの製作事例をご紹介します。上から落ちてくる液体や粉体を受け止め、曲げパイプで狙った場所へ導く——「受けて、流す」を1つの部品にまとめた製品です。受け口は板金を成形して製作し、曲げパイプにTIG溶接で接合。反対側の端部には取付用の小ブラケットを設けています。写真は溶接を終えた製作途中の状態で、この後仕上げ工程に進みます。

「受けて、流す」部品の設計ポイント

受け口付きパイプの設計で検討すべきことは、大きく3つあります。①こぼれを防ぐ立ち上がり——受け口の縁の高さが足りないと、勢いのある流入で跳ねてこぼれます。本事例では縁に立ち上がりを付け、流入側だけを切り欠いて受けやすくしています。②滞留させない絞り形状——受け口からパイプへの絞り込みが急すぎると流れが淀み、粉体なら詰まり、液体なら液だまりの原因になります。③受ける位置の再現性——落下物を受ける部品は、位置が数ミリずれるだけで機能しません。取付ブラケットで毎回同じ位置に固定できることが、意外に見落とされがちな要件です。

異種部材の溶接:板金の受け口×パイプ

この製品の技術的な核心は、板金成形した受け口とパイプという「別の作り方で生まれた部材」を、径をすり合わせて溶接するところにあります。成形品とパイプでは真円度も板厚も微妙に異なるため、突合せ部の隙間管理と入熱の調整を誤ると、穴あきや歪みにつながります。内側は流路になるため、溶接ビードの裏側(裏波)を暴れさせず、流れを妨げない滑らかさに保つことも重要です。

製作途中の現物確認が品質を上げる

写真のように、当社では製作途中の状態で寸法・形状を確認し、必要に応じてお客様に写真で共有しています。特に「受ける」部品は、図面上は正しくても実機に当てて初めて分かる調整(受け口の向き・高さの微調整など)が発生しがちです。仕上げ前の段階で現物確認を挟むことで、完成後の手戻りを防ぎます。1個ものの製作こそ、この途中確認が効きます。

本事例のポイント

  • 板金成形の受け口:立ち上がり+流入側の切り欠きで、跳ね・こぼれを抑えつつ受けやすい形状に
  • 絞り部の滑らかな流路:受け口からパイプへの絞り込みを滑らかにつなぎ、滞留・詰まりを防止
  • 異種部材のTIG溶接:成形品とパイプの突合せを隙間管理し、穴あき・歪みなく接合
  • 取付ブラケット付き:受け位置を再現できる固定部を一体化し、据付・交換を容易に
  • 途中確認と写真共有:仕上げ前の現物確認で、実機合わせの微調整に対応

想定される用途例

  • 加工機の切削油・クーラント回収口
  • 食品・薬品機械の原料投入口、受けシュート
  • 充填ラインの液受け・ドレン受け
  • 部品・端材の落下回収ダクト
  • 既設装置への後付け回収口(現物合わせ)

製作工程

  1. 設計:受けたい物・落下位置・逃がし先を確認し、受け口形状とパイプ経路を設計
  2. 受け口の板金成形:レーザー切断した板を成形し、立ち上がり付きの受けカップを製作
  3. パイプ曲げ・ブラケット製作:ベンダーで経路を曲げ、取付ブラケットを加工
  4. TIG溶接:受け口・パイプ・ブラケットを治具で位置決めし、隙間と入熱を管理して接合
  5. 途中確認→仕上げ:寸法確認(必要に応じ写真共有)ののち、溶接焼け除去・バリ取りをして納品

よくあるご質問

受け口の大きさ・形は自由に決められますか?

A. はい。受けたい物(液体・粉体・部品)と落下のしかたに合わせて、口径・立ち上がりの高さ・切り欠きの向きを設計します。「何を・どこから・どのくらいの量で受けるか」をお知らせください。

粉が詰まらないか心配です。

A. 粉体は絞り角度と内面の段差が詰まりの主因です。流れる角度を確保した絞り形状と、内面の滑らかな溶接仕上げでリスクを下げられます。扱う粉の性状(粒度・付着しやすさ)をお聞きして形状に反映します。

既存の装置に合わせて作れますか?図面はありません。

A. 可能です。設置場所の写真と主要寸法(受けたい位置・逃がしたい先・使えるスペース)があれば、当社で形状を設計します。製作途中の写真共有や、現物合わせの微調整にも対応しますので、後付け部品こそご相談ください。

1個だけでも作ってもらえますか?

A. もちろんです。本事例のような「この装置のこの場所のための1個」こそ、多品種少量生産を得意とする当社の本領です。

まとめ:「受けて、流す」は現場合わせの積み重ねです

受け口付きパイプは、図面の正しさに加えて「実機でちゃんと受かるか」という現場の検証が品質を決める部品です。株式会社オーディーケー(東京都青梅市)は、板金成形・パイプ曲げ・TIG溶接を社内に持ち、製作途中の確認・写真共有を挟みながら、多摩エリアをはじめ首都圏のお客様の1個ものづくりに対応しています。

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