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コラム13. 設計初心者が見落とす板金加工の落とし穴10選

板金加工

板金加工は一見シンプルに見えますが、設計初心者が知らずに描いた図面が実際には製作困難であったり、コストが大きく増加したりするケースが少なくありません。ここでは初心者が見落としがちなポイントを10個に整理して紹介します。

  • ・無理な曲げ指示(板厚に対して小さすぎるR設定)
  • ・材料繊維方向を無視した曲げ設計
  • ・曲げライン近くに穴や切欠きを設置
  • ・加工できない極小スリットや微細穴
  • ・外観部にスパッタや焼けが出る構造
  • ・複数部品の溶接位置が不明確
  • ・公差が厳しすぎて加工費が増大
  • ・板厚が厚すぎて加工機対応外
  • ・治具なしでは組立できない構造
  • ・標準板サイズを考慮していない展開寸法

これらはすべて、実際の加工工程や現場視点を知らないまま図面を描くことで発生する問題です。たとえば、Rの指定が現場の保有金型に合わない、工具が入らない場所への溶接指示、機械加工並みの厳密な公差設定などが挙げられます。

さらに、材料の性質や加工方法の違いによる「できる/できない」の判断ができないと、コストや品質、納期に大きく影響します。とりわけアルミやステンレスなど特殊材料は熱の影響が大きく、設計ミスが現場での手直しや再製作につながるリスクも高くなります。

設計初心者がこれらの落とし穴に気づくには、加工現場との連携が非常に有効です。試作段階での現場レビュー、製造者との打ち合わせ、あるいは加工の現場を実際に見学して工程や制約を肌で感じることが、設計の「気づき」を大きく育ててくれます。

また、社内での「設計ガイドライン」や「設計チェックリスト」を整備しておくことで、ベテラン設計者のノウハウを初心者にも共有しやすくなります。トラブル事例や過去の修正履歴なども活用しながら、失敗から学べる仕組みを作ることが成長への近道です。

初心者であっても、正しい知識と現場視点をもって設計すれば、現場に信頼される図面を描けるようになります。最初の一歩は「できるだけ現場の声を聞く」こと。それが設計ミスを減らす最大の武器になります。