
この記事でわかること:既製ラックとオーダーメイドの使い分け(特注が正解になる5つのケース)/パンチングメタルを使う理由(通気・視認・軽量・洗浄性)/仕切り・棚ピッチを収納物から逆算する設計の考え方。工場・厨房・研究室の収納にお困りの設備担当・生産管理の方に向けて、製作現場からまとめました。
今回は、オーダーメイドのステンレスラックの製作事例をご紹介します。角パイプを溶接したフレームに、パンチングメタルのパネル、仕切り板付きの棚、壁面固定用の金具まで備えた特注品です。「置きたい場所」と「入れたい物」が先にあり、そこからサイズ・棚割り・仕切りピッチを逆算して設計しています。既製品のラックでは実現できない、現場にぴったり合う一台です。
既製ラックとオーダーメイド、特注が正解になる5つのケース
既製のステンレスラックは安価で入手も早く、汎用の収納には合理的な選択です。一方で、次のような条件がひとつでも当てはまるなら、オーダーメイドのほうがトータルで得になることが多いです。
- 設置スペースに制約がある:柱の間、機械の脇、通路幅ギリギリなど、寸法指定でデッドスペースをなくしたい
- 収納物が決まっている:部品箱・治具・金型など、入れる物のサイズと数量に合わせて棚割り・仕切りを最適化したい
- 重量物を載せる:既製品の耐荷重では不安な金型・素材などを、フレーム設計から耐荷重を見込んで支えたい
- 固定・安全対策が必要:地震対策の壁面固定、転倒防止など、建物側との取り合いを含めて設計したい
- 衛生・環境条件が厳しい:水洗いする厨房・食品工場、薬品を扱う環境など、材質と構造を環境に合わせたい
今回の事例は、このうち複数が重なったケースです。「既製品を無理に使って現場を合わせる」のではなく、「現場に合わせてラックを作る」——保管ミスや作業動線のロスまで含めて考えると、特注の投資が回収できる場面は少なくありません。
パンチングメタルを使う4つの理由
本事例のパネルと底板にはパンチングメタル(多孔板)を採用しています。見た目のためだけではなく、実用上の理由があります。通気性——湿気がこもらず、収納物のサビ・カビを防ぎます。視認性——外から在庫の有無がひと目で分かり、探す時間を減らせます。軽量化——同じ板厚の無垢板より軽く、大型ラックの総重量を抑えられます。洗浄性——水が抜けるため、洗浄する環境でも水たまりができません。どの面に多孔板を使い、どの面を無垢板にするかは、収納物と環境から決めていきます。
本事例のポイント
- 角パイプフレームの溶接構造:治具で直角度・対角を管理しながら溶接し、大型でも歪み・ねじれのない骨格に
- 収納物から逆算した棚割り:段ごとに高さ・仕切りピッチを変え、入れる物に合わせた「定位置」を用意
- パンチングメタルパネル:通気・視認・軽量・洗浄性を確保しつつ、収納物の落下・接触を防止
- 壁面固定金具を標準装備:地震・接触による転倒を防ぐ固定用ラグをフレームと一体で製作
- オールステンレスで長寿命:湿気・水洗いのある環境でもサビに強く、長期間清潔に使用可能
想定される用途例
- 工場の部品・治具・金型の保管ラック
- 食品工場・厨房の器具・資材収納棚
- 研究室・実験室の薬品・器具ラック
- 医療・福祉施設の備品収納
- 設備スペースに合わせた造り付け収納
製作工程
- ヒアリング・設計:設置場所の寸法、収納物のサイズ・重量・数量を確認し、棚割りまで含めてCADで設計
- フレーム部材の切断:角パイプを精度良く切断し、接合部を加工
- パネル・棚板の板金加工:パンチングメタル・棚板・仕切り板をレーザー切断し、曲げ成形
- 溶接・組立:治具でフレームの直角・対角を管理してTIG溶接し、パネル・棚を組み付け
- 仕上げ・検査:溶接部の仕上げ、ガタつき・建付けの確認、寸法検査のうえ納品・設置
よくあるご質問
Q. 図面がありません。設置場所の寸法だけで相談できますか?
A. 可能です。設置場所の寸法(幅・奥行・高さ)と、入れたい物・およその重量をお知らせください。現場写真があると、搬入経路や固定方法まで含めてご提案できます。図面化は当社で行います。
Q. 耐荷重はどのくらいまで対応できますか?
A. 載せる物の重量に合わせて、フレームの部材サイズ・補強・棚の構造を設計します。「1段あたり○kg載せたい」という形でご要望をお伝えください。重量物用の頑丈な仕様から、軽量物用のコスト重視仕様まで調整可能です。
Q. キャスター付きや、あとから棚を増やす対応はできますか?
A. どちらも対応可能です。移動して使う場合はキャスター+ストッパー仕様に、将来の変更が見込まれる場合は棚位置を変えられる構造や、後付けできる設計にしておくことをおすすめします。最初のヒアリングで使い方をお聞かせください。
Q. 1台だけでも作ってもらえますか?納期はどのくらいですか?
A. 1台から製作します。納期はサイズ・仕様によりますので、お問い合わせ時に希望時期をお知らせください。設計内容が固まっていれば、その分短縮できます。
まとめ:ラックを現場に合わせると、現場の動きが変わります
オーダーメイドのステンレスラックは、収納そのものだけでなく「探す・戻す・数える」という毎日の作業時間を減らす設備投資です。株式会社オーディーケー(東京都青梅市)は、フレーム溶接から板金パネル、組立までの社内一貫体制で、多摩エリアをはじめ首都圏の工場・厨房・研究施設の特注ラック製作に1台から対応しています。
