YAG溶接って?TIG溶接との違いやメリットを検証

YAG溶接とは?

YAG溶接は、YAGレーザーと呼ばれる特殊なレーザー光を使って金属を溶接する技術です。
YAGレーザーは、イットリウム・アルミニウム・ガーネットという結晶に光源を当てて発生させる近赤外光で、高いエネルギーと優れた指向性を持っています。

このレーザー光をレンズで集束し、ワークに照射することで、局所的に高温状態を作り出し、金属を溶かして接合します。

YAG溶接の特徴

  • 非接触溶接: 溶接棒や電極を使わず、レーザー光のみで溶接するため、ワークに接触することなく高精度な溶接が可能です。
  • 高精度: レーザー光のスポット径を小さくできるため、微細な部品や薄い板材の溶接に適しています。またレーザーのエネルギー密度が高いため、溶接速度が速くなります。生産性が高まります。
  • 高品質: 溶接痕が美しく、熱による歪みやクラックが少ないため、高品質な仕上がりになります。(レーザー光は物体表面の狭い範囲にのみ熱を与えるため、熱影響部が小さく、ひずみが抑えられます。)
  • 幅広い材料への適用: 鉄鋼、ステンレス、アルミ、銅など、様々な金属材料を溶接することができます。

YAG溶接のメリット

  • 高精度・高品質な溶接が可能
  • 非接触溶接なので、ワークへのダメージが少ない
  • 薄板や微細な部品の溶接に適している
  • 幅広い材料への適用が可能
  • 溶接後のクリーンアップが容易

YAG溶接のデメリット

  • レーザー装置が高価
  • 溶接速度が比較的遅い
  • 深い熔け込みが難しい
  • 熟練した技能者が必要

YAG溶接の用途

  • 電子機器部品・医療機器・自動車部品・光学機器・精密機械部品の溶接など
  • ジュエリーの製作

YAG溶接は、高精度・高品質な溶接が必要とされる様々な分野で利用されています。

YAG溶接と他の溶接法との比較

一般的に、溶接する際は、TIG溶接が主流といえます。
TIG溶接は、アークと呼ばれる電気的な放電を利用して金属を溶かして接合する方法です。比較的安価な装置で導入でき、幅広い材料に対応できることから、汎用性の高い溶接法として広く利用されています。浅く広く溶接するタイプであり、強度が要求されるものには最適ですが、浅く広く溶接することから熱が材料に伝わりやすく、歪みが発生しやすいというデメリットがあります。

YAG溶接は、特殊なレーザー光を使って金属を溶かして接合する方法です。高精度・高品質な溶接が可能ですが、装置価格が高価で、高度な技能が必要となります。レーザー溶接であるため、深く狭く溶接することができるという特徴があります。また、YAGレーザーは、医療の現場でも使われることがあり、主に目や歯の治療に役立っています。

TIG溶接とYAG溶接の比較表

項目TIG溶接YAG溶接
熱源アークレーザー
溶接方法接触非接触
精度比較的高非常に高い
品質高い非常に高い
溶接速度比較的遅い比較的遅い
歪み比較的大非常に小さい
熱影響範囲広い狭い
適用材料幅広い幅広い
接合部形状様々な形状に対応ビード状
作業環境比較的良好良好
装置価格比較的安価高価
ランニングコスト比較的安価比較的高
技能必要高度な技能が必要
用途一般的な金属材料の溶接高精度・高品質な溶接が必要な分野

補足

  • 上記は一般的な傾向であり、具体的な状況によって異なる場合があります。
  • TIG溶接とYAG溶接は、それぞれ異なる長所と短所を持っているため、用途に合わせて適切な溶接法を選択する必要があります。

まとめ

YAG溶接は、高精度・高品質な溶接が必要とされる様々な分野で利用されている、先進的な溶接技術です。近年では、レーザー装置の高機能化や低価格化が進み、ますます注目を集めています。

何かYAG溶接について具体的に知りたいことがあれば、遠慮なく聞いてください。