ベンダー加工とプレス加工は、どちらも金属板を加工する方法ですが、仕組みや得意な加工、向いている用途などが異なります。
1. 仕組みの違い
- ベンダー加工: V字型の金型を使って、金属板を曲げるように加工します。まるで作業用紙を曲げられるように、自由度の高い曲げ加工が可能です。少量生産品や試作品、筐体などの加工に広く用いられています。
- プレス加工:パンチとダイと呼ばれる金型で、金属板を押しつぶしたり、穴があいたり、切断したりします。まるでハンマーで金属板を叩くようなイメージです。
2. 加工できる形状
- ベンダー加工:曲げ加工に適しており、複雑な曲げ形状やR曲げなども可能です。加工できる形状は、曲げに特化しています。
- プレス加工:曲げ加工だけでなく、穴あけ、切断、絞り、タッピンなど、様々な加工が可能です。
3.得意な加工の厚さ
- ベンダー加工:比較的薄い板(数mm程度)の加工に適しています。一般的に、数mm程度の薄い板までしか加工できません。厚い板は、プレス加工などの方法で加工する必要があります。
- プレス加工:厚板(数mm~数十mm程度)の加工にも対応できます。
4.向いている用途
- ベンダー加工:少量生産品や試作、寸法など、複雑な形状の部品に適しています。
筐体:エアコンや冷蔵庫などの外装部品
ダクト:空調設備に使われる管のような部品
ブラケット:照明器具や機械部品などを固定する部品
カバー:機械部品を眺めるための部品
ステー:部品を支えるための部品
Lアングル: 90度に曲げた部品
チャンネル鋼: U字型の断面を持つ部品 - プレス加工:大量生産品や、強度や精度が要求される部品に適しています。
自動車部品:自動車の外板やパネルドア・フレーム・エンジン部品など
洗濯槽:洗濯機の衣類を洗うための槽
冷蔵庫の外装:冷蔵庫の表面を覆う板
電子レンジの筐体:電子レンジの外側を眺める部品
農業機械:トラクターやコンバインなどの部品
鉄道車両:車体や台車などの部品
航空機:機体やエンジン部品
食器:フォークやスプーンなどのカトラリー
文房具:クリップやホッチキスなどの部品
おもちゃ:車や電車などのおもちゃ
5. その他の違い
- 金型:ベンダー加工は汎用性の高い金型が使用できますが、プレス加工は加工したい形状に合わせた専用の金型が必要となります。
- コスト:ベンダー加工は金型代が比較的安いですが、プレス加工は金型代が高価になる場合があります。
- 加工精度:プレス加工の方が、一般的に高い精度で加工できます。
加工したい形状や材質、生産量、コストなどを考慮して、ベンダー加工とプレス加工を考慮することが重要です。
まとめ
項目 | ベンダー加工 | プレス加工 |
---|---|---|
構造 | V字型金型で曲げる | パンチとダイで押しつぶす、穴限り、切断する |
加工できる形状 | 曲げ | 曲げ、穴あけ、切断、絞り、タッピンなど |
得意な加工厚さ | 薄い板 | 厚い板も可 |
向いている用途 | 少量生産品、試作品、筐体など | 大量生産品、強度や精度が要求される部品 |
金型 | 汎用性の高い金型 | 加工形状に合わせた専用金型 |
コスト | 金型が比較的安価 | 金型代が高価 |
加工精度 | 比較的低い | 高い |
上記を参考に、加工したい形状や材質、生産量、コストなどを考慮して、適切な加工方法を選択することが重要です。