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コラム1. 板金加工とは?設計者が知るべき基礎知識と注意点

板金加工は、金属板を切断・曲げ・溶接などによって目的の形状に仕上げる加工技術です。自動車部品、医療機器、建築部材など、幅広い分野で利用されています。設計者にとって板金加工の理解は不可欠であり、設計段階で加工性を考慮することがコストや品質に直結します。

板金加工には、レーザー加工、タレットパンチプレス、プレスブレーキによる曲げ、TIG・CO2溶接など多様な手法があり、それぞれに特性と制約があります。たとえば、レーザー加工では複雑な形状も高精度で切断できますが、板厚や材質に制限があり、極端に細かい形状は難しい場合があります。曲げ加工では、内Rの最小値や曲げ方向(繊維方向)に注意が必要です。溶接においても、歪みや後処理の有無などを考慮した設計が求められます。

材料選定も重要です。鉄(SPCC、SS400など)は安価で加工しやすく、広く使われていますが、錆に弱いため防錆処理が必要です。ステンレス(SUS304など)は耐食性に優れ、外観部品に適していますが、加工性はやや劣り、コストも高めです。アルミは軽量で熱伝導性に優れていますが、溶接やバリ処理などで注意が必要です。

また、公差設定も板金設計では大きなテーマです。図面で厳しい公差を指定すると、加工コストが大きく上がります。板金の加工精度は、切断・曲げ・溶接で変化するため、それぞれの工程でのばらつきを理解し、現実的な公差設定を行うことが必要です。

板金加工は、製品の性能・コスト・納期を左右する要素であり、設計者がその基本を押さえることで、製造現場との連携がスムーズになり、トラブルのない製品づくりにつながります。