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コラム2. 板金設計ミスを防ぐ!設計者のための加工現場視点のポイント

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板金設計におけるミスは、図面通りに製作しても実際には組み立たない、溶接ができない、工具が入らないなど、製造現場で初めて発覚することが多くあります。こうした設計ミスを未然に防ぐには、加工現場の視点を持つことが重要です。

設計段階でよく見られるミスには、溶接の難しい部位に指示がある、曲げ加工に無理がある、材料の厚みや強度を無視した設計などがあります。たとえば、90度以下の急な曲げは材料にクラックが入る可能性があり、加工できたとしても強度低下のリスクがあります。また、曲げ方向を材料の繊維方向と合わせてしまうと、割れやすくなるケースもあります。

さらに、溶接構造で仮付けや組立冶具の位置が確保されていない設計も問題です。作業性が悪いと品質もばらつきやすく、溶接歪みが大きく出てしまうこともあります。こうした問題は、設計者が一度現場を見て、実際の加工順序や治具の使い方を理解するだけでも大きく改善されます。

現場視点を取り入れる具体的な手段としては、製造担当者との事前レビューや、試作段階でのフィードバックループが有効です。また、設計チェックリストを活用し、設計ミスの傾向を分析・蓄積することもおすすめです。

加工現場と設計者が密接に連携することで、製品の品質はもちろん、製造コストや納期の最適化にもつながります。製品全体の成功には、図面だけでなく、その先の加工性・組立性を見据えた設計が欠かせません。