ステンレスTIG溶接の極意!美しい仕上りを実現する5STEP、コツや設定を紹介 |株)ODK

はじめに 

ステンレスTIG溶接は、美しい仕上がりと高い強度を誇る溶接方法として、DIYやプロの現場で幅広く利用されています。しかし、初心者にとっては難易度が高いと感じることもあるでしょう。 

そこで今回は、初心者でも美しいステンレスTIG溶接を実現するための7つのステップをご紹介します。 

専門用語は使わず、分かりやすい言葉で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。 

1. 準備:必要な道具と材料を揃えよう 

まず、ステンレスTIG溶接に必要な道具と材料を準備しましょう。必要なものリストとそれぞれの役割を分かりやすく解説します。 

必要な道具 
  • TIG溶接機:熱源となる機械です。 
  • トーチ:溶接棒を送り、アークを発生させるための道具です。 
  • 電極:アークを発生させるための消耗品。ステンレス用を選びます。 
  • 溶接棒:溶接部を埋めるための金属棒です。ステンレス用のものを選びましょう。 
  • マスク:目を保護するための道具です。 
  • 手袋:手を保護するための道具です。 
  • 作業服:火花や熱から体を守るための服です。 
必要な材料 
  • ステンレス板:溶接する材料です。厚さや種類によって必要な電流が異なるので注意しましょう。 
  • アルゴンガス:溶接部を酸化から守るためのガスです。 

2. 設定:最適な溶接条件を見つけよう 

ステンレスTIG溶接の仕上がりは、溶接条件によって大きく左右されます。 

主な溶接条件 
  • 電流: 電流値は溶接部の溶け込み深さとビード幅に影響します。電流値が高いほど、溶け込みが深くなり、ビード幅が広くなります。 
  • 電圧: 電圧はアークの長さと安定性に影響します。電圧が高いほど、アークが長くなり、安定性が低下します。 
  • パルス設定: パルスTIG溶接では、電流をパルス状に供給します。パルス周波数とパルス幅を調整することで、溶接部のビード形状や溶け込み深さを制御できます。 
  • ガス流量: シールドガス(通常はアルゴン)の流量は、溶接部の酸化を防ぎます。ガス流量が低いと、溶接部に酸化物が発生しやすくなります。 

これらの溶接条件を適切に設定することで、ステンレスTIG溶接の仕上がりが向上し、溶接部の強度と美観を確保できます。 それぞれの条件がどのような影響を与えるのかを理解し、最適な条件を見つけましょう。 

3. 実践:ステンレス板を美しく溶接しよう 

準備、練習、設定が完了したら、いよいよステンレス板を実際に溶接してみましょう。 

溶接手順 
  1. ステンレス板を固定する 
  2. 電流、電圧、ガス流量を設定する 
  3. トーチと電極を適切な角度に保つ 
  4. アークを発生させ、溶接棒を送りながら溶接する 
  5. ビードを形成しながら、溶接部を丁寧に仕上げる 

最初はゆっくりと丁寧に溶接を進め、慣れてきたら徐々にスピードを上げていきましょう。 

4. 仕上げ:美しいビードを目指そう 

溶接が終わったら、ビードを美しく仕上げましょう。 ビードとは、溶接によって接合された金属の盛り上がった部分のことです。ビードは、溶接の種類や溶接条件によって形状や大きさが異なります。 

ビードには、以下の種類があります。 

  • 平ビード:最も一般的なビードで、溶接部の表面が平らになっています。 
  • 盛り上がりビード:溶接部の表面が盛り上がっているビードです。 
  • 凹みビード: 溶接部の表面が凹んでいるビードです。 
  • 裏当てビード: 溶接部の裏面に溶接を施したビードです。 

ビードの形状は、溶接の種類や溶接条件によって決まります。例えば、アーク溶接では平ビードや盛り上がりビードが、抵抗溶接では点ビードや線ビードが形成されます。また、溶接電流や溶接速度などの溶接条件によって、ビードの幅や高さ、溶け込み深さが変化します。 

ビードは、溶接部の強度や美観に影響を与える重要な要素です。適切な溶接条件を設定することで、所望の形状や大きさのビードを得ることができます。 

主な仕上げ方法 
  • ワイヤーブラシでビード表面を清掃する 
  • 研磨材を使ってビードを滑らかにする 

※TIG溶接における、美しいビードとは、以下の特徴を備えたビードのことです。 

  • ビード幅が均一で、溶接部の両側に溶け込みが十分に行われている。 
  • ビードの表面が滑らかで、ビードの両側にスパッタや酸化物が付着していない。 
  • ビードの形状が均一で、溶接部の両側に歪みや変形がない。 
  • ビードの色が均一で、溶接部の両側に過熱や焼き付きがない。 

美しいビードを得るためには、適切な溶接条件を設定し、溶接技術を習得することが重要です。また、溶接前の材料の表面処理や、溶接後のビードの清掃も重要です。 美しいビードを得ることで、溶接部の強度と美観を確保することができます。 

5. トラブルシューティング:よくある問題と解決策 

ステンレスTIG溶接では、さまざまなトラブルが発生することがあります。 

よくあるトラブル 
1.ビードが綺麗に形成されない 

ビードが綺麗に形成されない場合の具体的な対策を以下に示します。 

  • ビードが細すぎる: 溶接電流を増やす、溶接速度を遅くする。 
  • ビードが太すぎる: 溶接電流を減らす、溶接速度を速くする。 
  • ビードが凸凹している: 溶接速度を一定にする、溶接トーチを安定させる。 
  • ビードにスパッタが付着している: シールドガスの流量を増やす、溶接トーチをワークに近づける。 
  • ビードに酸化物が付着している: シールドガスの種類を変更する、溶接環境を改善する。 

ビードが綺麗に形成されるようにするには、適切な溶接条件を設定し、溶接技術を習得することが重要です。また、溶接前の材料の表面処理や、溶接後のビードの清掃も重要です。 

2.穴が開いてしまう

 TIG溶接で穴が開いてしまうのを防ぐための具体的な対策を以下に示します。 

  • 溶接電流を下げる: 溶接電流を下げることで、溶融池の温度を下げることができます。溶融池の温度が低いほど、穴が開くリスクが低くなります。 
  • 溶接速度を遅くする: 溶接速度を遅くすることで、溶融池に熱を伝える時間を長くすることができます。溶融池に熱を伝える時間が長いほど、穴が開くリスクが低くなります。 
  • ワークと溶接トーチの距離を離す: ワークと溶接トーチの距離を離すことで、溶融池に集中する熱量を減らすことができます。溶融池に集中する熱量が少なければ、穴が開くリスクが低くなります。 
  • ワークを厚くする: ワークを厚くすることで、溶融池の深さを浅くすることができます。溶融池の深さが浅ければ、穴が開くリスクが低くなります。 
  • ワークを熱に強い材質に変更する: ワークを熱に強い材質に変更することで、溶融池の温度上昇を抑えることができます。溶融池の温度上昇を抑えれば、穴が開くリスクが低くなります。 

TIG溶接で穴が開かないようにするには、適切な溶接条件を設定し、溶接技術を習得することが重要です。また、溶接前の材料の表面処理や、溶接後のビードの清掃も重要です。 

 

3.スパッタが発生する 

TIG溶接でスパッタを発生させないための具体的な対策を以下に示します。 

  • 溶接電流を下げる: 溶接電流を下げることで、溶融池の温度を下げることができます。溶融池の温度が低いほど、スパッタが発生するリスクが低くなります。 
  • 溶接速度を遅くする: 溶接速度を遅くすることで、溶融池に熱を伝える時間を長くすることができます。溶融池に熱を伝える時間が長いほど、スパッタが発生するリスクが低くなります。 
  • ワークと溶接トーチの距離を離す: ワークと溶接トーチの距離を離すことで、溶融池に集中する熱量を減らすことができます。溶融池に集中する熱量が少なければ、スパッタが発生するリスクが低くなります。 
  • シールドガスの流量を増やす: シールドガスの流量を増やすことで、溶融池を保護する効果を高めることができます。溶融池が保護されていれば、スパッタが発生するリスクが低くなります。 
  • 溶加材を適切なものに変更する: 溶加材を適切なものに変更することで、溶融池の安定性を高めることができます。溶融池が安定していれば、スパッタが発生するリスクが低くなります。 
  • ワークを清掃する: ワークを清掃することで、ワークの表面に付着している汚れや油分を除去することができます。ワークの表面が汚れや油分を除去されていれば、スパッタが発生するリスクが低くなります。 

TIG溶接でスパッタが発生しないようにするには、適切な溶接条件を設定し、溶接技術を習得することが重要です。また、溶接前の材料の表面処理や、溶接後のビードの清掃も重要です。 

まとめ:練習と知識で美しいステンレスTIG溶接を実現しよう 

ステンレスTIG溶接は、奥深い技術ですが、練習と知識を積むことで誰でも美しい仕上がりを実現することができます。 

本記事を参考に、ぜひステンレスTIG溶接に挑戦してみてください。 

株式会社 オーディーケー 紹介動画